【学ぶ意義】人間にとって教養とはなにか【おすすめ本】

【学ぶ意義】人間にとって教養とはなにか【おすすめ本】 おすすめの本

著者は社会学者の橋爪大三郎さんで,本書は2021年1月にSBクリエイティブから出版されました。まえがきで著者は次のように書いています。

教養とはどんなものか,知りたい
そんなあなたに,この本はぴったりです

「大人の学び直し」がブームとなる中で,あえて本書は「ノウハウ」や「テクニック」を語るのではなく,教養を学ぶ意義を熱く語ってくれます。「勉強ってなんだったんだろう」と大人になってから考える人も多いと思いますが,その問いに自分なりの答えを見つけるヒントになるはずです。

この記事では,大学卒業以来,一貫して教育業界に携わってきた私なりに,著者が語る教養論を本書のことばを引用しつつまとめました。ご興味を持たれた方は,ぜひ本書を手に取ってみてください。

教養とは

次の一節は,まえがきからの抜粋です。

教養は,自分のため
それから,社会のため

さらに,次の一節も,まえがきからの抜粋です。

教養は,社会のひと握りのリーダーの人びとが,リーダーとして適切な意思決定を行うための基礎知識でした
(中略)
いまや教養は,社会のすべての人びとが,有権者として適切な意思決定を行うための基礎知識です

これで,教養というものの姿がだんだんと見えてきましたね。
もともとは一部の指導者のものだったものが,社会のすべての構成員に行き渡ったものなのです。
また,著者は学校の勉強についても次のように語っています。

学校の勉強は,「答えのある問題」を考えるものでした
それが,じつは「答えのない問題」を考えるのにも役立つのです
それは,「答えのない問題」のなかにはたいてい,
「答えのある小さな問題」がたくさん含まれているからです

第1章で,著者が語る「教養とはなにか」についてまとめると,次のようになります。

  • 教養とは,これまで人間が考えてきたことのすべて
  • 教養には,明確な目的がない
  • 答えのない問題にぶち当たったときが教養の出番

情報というのは,どう使うかが明確なものです。
一方で,教養はいつ役に立つのかわからないものなのです。
それが,解なき問題に答えを出すのに役に立つのです。
いつか役立つ日のために蓄積し続け,有事のときにその力を解き放つイメージですね。

AIが発達すれば外国語学習は不要になるのか?

高精度で同時通訳を可能にするAIを搭載したアプリは近いうちに登場する可能性があります。
外国語の文献を読んだり,日本語以外を母国語とする人とコミュニケーションをとるだけが目的なら,学校での英語の学習は不要だと思えるかもしれません。
しかし,著者は,外国語学習の本質はそこではないと指摘しています。
第4章から次の一節を抜粋します。

外国語を学ぶのは,母語による思考の枠組みから自由になり,
自分の思考を相対化するためです

英語を学習していると,日本語とはものごとの捉え方が異なることに気づくことがあります。
私たちは,知らないうちに,日本語的な思考に慣れてしまっているのです。
個人的には,言語は世界の切り取り方の1つの手段だと考えています。
英語や他の言語を勉強することで,同じものごとに対する別の捉え方があることを知り,
日本人として生きてきた自分がとらわれているバイアスに気づけるのです。
本書は,いくつかの具体例を挙げつつ,このことを説明してくれています。

ネットが導く未来

次の一節は,第5章からの引用です。

ネットは,とにかく大きい。巨大である
(中略)
しかも日夜,なお巨大になり続けている

インターネットが,本も放送も通信も,のみこむかもしれないと指摘しつつ,
でも,本が本であることに変わりはないと著者は語っています。
信頼できる情報ソースとして,本の立場は揺らがないのです。
また,私は教育業界に携わってきた経験から,次の一節にひどく共感しました。

対面の授業は,教員の能力によって,内容や質にばらつきがあります
同じ内容をいくつものクラスで繰り返し,来年も再来年も繰り返す。ムダが多い
そのエネルギーを投入してソフトにしてしまえば,
数学や英語はもっと効果があがるかもしれない

そうなんですよね。私もかつて塾の講師をしながら,
同じことを毎年繰り返すのって,本当にムダだなと思っていました。
基本となる指導については,優秀な先生が指導動画を作り,全国共通でそれを使えば十分です。
先生が不要になるわけではなく,先生の役割が変わっていくイメージですね。
向かうべき自然な方向性はそっちなんですが,
これを全国的に展開するには強力なリーダーシップが必要になります。
少しずつ,できるところから変わっていく,という感じになるでしょうね。

人からしか学べないこと

人とのリアルな出会いからの学びについても語られています。
次の一節は,第5章からの引用です。

自分と違うところを,どう相手に見つけられるか
その違いを楽しめるか
(中略)
人間同士の「学び」とは,相手のなかに,自分が知らないこと,
わからないことがあって,はじめて成り立つ

相手は自分にないものを持っていて,自分は相手にないものを持っているから,
お互いにリスペクトできる
んだということです。
私個人は,大学生のときも,社会人になってからも,
お互いの共通点を探り合うような会話にはなじめませんでした。
むしろ,違いがあるからこそ,関わり合う意味が生まれると思います。
さまざまな面で違いを持つ友人同士が,たまに会って
近況や最近経験したこと,考えたことをぶつけ合うのがリアルな学びだと考えます。

バランスよく学ぶ

次の一節は,第6章からの引用です。

学問は,便宜上分かれていますが,もともとはつながっている

現代では,別々の学問として教わりますが,もとは1つです。
また,次のような一節もあります。

なんの専門家でもないひとが,ひとつの切り口だけにこだわって
別の切り口が見えなくなってしまうのはよくない

個人的には,小学校から大学のはじめの2年間くらいまでに習う内容は
文系,理系も関係なくすべて学ぶべきだと思います。
知識が断片的だと,総合的にものごとを判断できなくなるんですよね。
浅くていいので,全方面をある程度理解しておいたほうがいいです。
大学2年くらいまでの内容ならば,深すぎないので,文理の枠を超えた学習は可能だと思います。

まとめ

第6章で,著者は結論として次のように書いています。

学びを楽しく続けるには,学びの成果をアウトプットすればいい

学んだことを社会に発信して,フィードバックをもらうようにすると,
自身を成長させるループができあがります。
私も自分の知識の整理をかねて,YouTubeやブログ,Twitterを通した発信をしています。
本書を手に取ってもらえると,きっと気づきを得られると思います。
ぜひ,みなさんも本書を読んでみてください。

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